英泉塾中浦和校校長から新年度のご挨拶

みなさん、こんにちは。中浦和校校長の渡辺です。

 

去る2月28日の金曜日、2020年度の埼玉県公立高校入試が行われました。

 

中浦和校では、前日の27日に、中3受験生たちの今年度の最終授業があったのですが、その日の夕方、突然総理大臣から、春休みまでの臨時休校の要請がなされました。

 

「もしかしたら、今日で中学校生活が終わりだったのかもしれないね」

受験生たちは、みんな口々にそんなことを話したりしていました。(実際に、それはほぼ現実になってしまいましたね……。)

 

入試直前にそのような状況になってしまったのは、もちろん今回が初めてです。

私は、「受験生たちの心境に悪い影響がなければいいな…」と思いながら、「入試が無事に行われ、ちゃんと受験できることに感謝して頑張ってこよう!」

と声をかけて、その夜は受験生たちを送り出しました。

 

 

本当に、ギリギリのタイミングで入試が実施されたのだという感じがしました。

 

そして翌日、試験を終えて塾に帰ってきた生徒から見せてもらった国語の問題には、あまりにもタイムリーな内容の説明文が載っていたのです。

 

【そもそも現代社会において、花粉症、鳥インフルエンザなど他の生きもの由来のウイルスは、すでに私たちの日常生活を脅(おびや)かしている。私たちは冬にはインフルエンザワクチンを接種し、うがい・手洗いを徹底するように言われ、春になるとムズムズする鼻を押さえてマスクを着け、目薬をさす。そのようにして他種から必死で身を守りつづけることでしか、私たちの生活は成り立たない。だからこそ「自然との共生」は今や遠く離れた美しい「自然」を「地球市民」という特権的な地位から守ることではなく、私たち自身の生存にかかわる他種との緊迫した関係である。】(『文化人類学の思考法』による)

 

昨今の世の中の情勢に照らして、非常に身につまされる文章です。1時間目の国語の時間に、受験生たちはどんな気持ちでこの文章を読んだのだろうかと、気の毒な気さえしてきました。

しかし、そんな心配をよそに、入試を終えたばかりの受験生たちは、みんなとてもすがすがしく明るい表情で、それぞれが自己採点に臨んでいました。

やるべきことを最後までやり切った受験生たちの心には、余計な心配や不安が入り込む隙間は、どうやら無かったようです。

そんな彼ら、彼女らの屈託のない様子に、私自身救われたような思いがしました。

 

 

さて、明日は彼ら、彼女らの卒業式がそれぞれの中学校で行われます。(この文章は3月12日の夜に書いています。)残念ながら、保護者の方は参加できない、卒業生と先生方だけの式になるようです。

 

最近よく言われていることですが、今年の中学3年生は、小学校に入学する直前に東日本大震災が発生し、その影響がまだとても大きい日々の中で入学式を迎えたのですよね。

 

私自身、9年前のあの重苦しい気持ちがした日々と似たものを、ここ1か月ほどは感じながら過ごしています。みなさんも同じ気持ちではないでしょうか。

しかし、そう遠くない将来に、また穏やかな日常は必ず戻ってきます。なかなか思い通りに行動できないことも多い状況ですが、今は、自分ができることを精一杯やっていくしかないと思います。

 

さあ、いよいよ英泉塾の新年度が始まります。また、英泉塾生のみんなと一緒に学習できるのが、とても楽しみです。

 

 

いつもより少しだけ遅れてのスタートになりますが、普段以上に精一杯、生徒のみんなと保護者の皆様が笑顔になれるように力を尽くしていきたいと思っています。

 

目に見えないウイルスにはしっかりと対処をしながら、明るい未来を手に入れるために、勉強にもしっかり取り組んでいきましょう!

 

中浦和校校長・小学部教務部長
渡辺高章